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20223/16

イシュイングにAIを活用するクレディセゾンの取り組み 人的ノウハウとAIを融合させ不正検知の精度を向上(上)

2022年3月16日9:00

クレディセゾンは、クレジットカード不正使用検知にAIを活用。常に最新の不正手口を学習し続けることで、変化にスピーディに対応し、高い精度で不正使用を抑止することに成功している。同社におけるAIモデル開発の経緯、運用事例、導入効果などについて紹介する。(2022年2月10日開催「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2022」より)

株式会社クレディセゾン 東京途上管理センター センター長 新井達也氏

不正被害の増大に歯止めをかけるためAIの導入を決定

クレディセゾンで行っているAIを活用したクレジットカードの不正検知における取り組みについて、お話しいたします。まずAI導入の背景ですが、日本クレジット協会が公表している会員41社の不正被害額のデータからも明らかなように、不正被害は増加傾向が続いています。特に2016年から17年にかけて急激に増加しており、この時期は弊社においても同じように不正被害が増え、対応に苦慮いたしました。増加した被害の大半が番号盗用によるもので、その比率は年々高まっています。

株式会社クレディセゾン 東京途上管理センター センター長 新井達也氏

そのような中での不正アタックの傾向を見ると、インターネットを介した取引が増えるにつれ、金額だけではなく、件数が爆発的に増加しているということ。不正パターンが短サイクル化して、変化が激しいということ。また不正アタック先が、従来からターゲットにされてきた家電やチケットから、スマホ決済や電子マネーのチャージ、アパレル関係、コロナ禍の影響で急速に広まったフードデリバリーなど、さまざまな業種業態に広がっていることが挙げられます。

このような状況下で、不正検知業務において、われわれには、大量の取引データを迅速かつ正確に分析する能力・スキルが求められています。しかしそういったスキルのある人材の確保・育成は容易ではありません。つまるところ人手による運用だけでは立ち行かなくなってしまうのではないか。また、これら求められている能力との親和性を考えた結果、AIモデルの活用を検討することにいたしました。

分析精度の高い非線形モデルを採用し
人が培ったノウハウをAIが学習

弊社の不正検知業務の流れについてご説明いたします。まず、検知条件の作成・編集を行います。つまり不正を検知するためのルールを明確にするのです。次に、担当者が実際に取引を目視して、不正かどうかを判断するモニタリングの工程があります。そしてその結果、不正の懸念が高いと判断されたものについては、お客様に連絡をして利用確認をとります。そこで不正が判明したら、不正データとして登録し、分析するというフローになります。この最後の分析の工程は、今までは担当者の知見・ノウハウをもとに人手で行っていました。ここに今回、機械学習による統計的な分析を加えたということになります。

開始前は私自身、機械学習の統計分析に懐疑的でした。というのも、当時のわれわれの不正検知の仕組みの中にもすでに機械学習のスコアリングを行う機能はあったのですが、ほとんど活用されていなかったからです。

開発の過程でどういったモデルを構築するかを検討する中で、われわれはこれまで活用されてこなかった線形モデルとは異なる、非線形のモデルを採用することにしました。シミュレーションでも、非線形モデルではよりきめ細かい、精度の高い分析が可能だということが明らかになり、これなら成果が出せるという手応えを感じました。

そしてこのAIモデルに、われわれが保有している不正取引に関する知識・ノウハウを学習させました。具体的には、過去に記載してきたルールの条件、活用してきた属性情報や取引金額などの項目を、有効な変数(特徴量)として学習させました。加えて、典型的な不正アタックのパターン、たとえば有効性チェックの後に同時多発的に取引が発生したら怪しいとか、そういった情報を与えてAIモデルを磨き込んでいきました。

従来モデルと新しいモデルの不正検知結果を比較すると、不正件数では、従来モデルのほうがむしろ不正を多く検知しているように見えるのですが、同じスコアが振られた取引の中で実際にどれだけ不正があったのかという不正割合を見ると、従来モデルではスコアによる差がほとんど見られないのに対して、新モデルではスコアが上がるにつれて不正の割合がどんどん高まっていくという結果になりました。不正をたくさんとらえて、なおかつ不正割合も高いというのが理想ではありますが、実際の運用では、不正割合がスコアと連動しているということが非常に重要です。これが連動していないと、スコアが高くても本当に不正なのかどうかわからない、したがって扱いが難しいということになります。その点、新しいモデルは使い勝手の良いものになったと自負しております。

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