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20223/10

静岡県浜松市、各種証明書の発行手数料などの支払いにキャッシュレス決済を導入

2022年3月11日8:30

 

市役所や区役所、博物館など14施設で開始し市民の利便性向上へ

デジタル・スマートシティを目指す静岡県浜松市は、2021年12月から、市役所や各区役所の窓口などでキャッシュレス決済を導入。住民票の写しや印鑑登録、戸籍といった各種証明書の発行手数料などを、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済で支払えるようにした。今後も対象施設を拡大していく予定で、新型コロナウイルス感染症対策として現金の受け渡しをしない非接触の決済方法を取り入れながら、市民の利便性向上や市の業務効率化を図る。

21種類の決済に対応
実証実験で市民のニーズを実感

キャッシュレス決済を導入したのは、市役所の窓口、各区役所の区民生活課、浜松城天守閣、浜松市博物館など17施設。市役所や区役所では住民票の写しや印鑑登録、戸籍、税務証明書などの発行手数料、浜松城天守閣や同市博物館など4施設では、入館料や売店での支払いなどにキャッシュレス決済を利用できるようにした。

クレジットカード(7ブランド)、電子マネー(iDやQUICPay、交通系電子マネーなど7種類)、QRコード(PayPayやd払いなど7種類)の決済に対応する。決済手数料は市が負担し、市の指定管理施設での運用では、指定管理者に対し費用の一部について補助金を出す。

決済には、三井住友カードが提供するオールインワン決済端末「stera terminal(ステラターミナル)」を使用。この端末にポスタスのクラウド型モバイルPOS レジ「POS +(ポスタス)」のアプリをダウンロードし、キャッシュレス決済とPOS レジを一元的に管理

同市は2019年10月、デジタルの力を活かして持続可能なまちづくりを進める「デジタルファースト宣言」を発表。AI・ICT技術などを活用し、都市の最適化や市民サービス向上、自治体の生産性向上を図るとした。今回のキャッシュレス決済導入は、これらのうち市民サービス向上で掲げた取り組みだ。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、同市は非接触の決済方法としてもキャッシュレス決済に注目。経済産業省が募集した自治体窓口や公共施設のキャッシュレス化に取り組むモニター自治体に応募し、2020年4月に選定された。

これを受け、同市は2020年12月から翌21年1月までの約1カ月間、中区役所の区民生活課と同市博物館で実証実験を実施。住民票の写しや各種証明書の発行手数料、入館料などをクレジットカードや電子マネー、QRコード決済で支払えるようにした。実験期間中の現金を含む全体の決済に対するキャッシュレス決済の比率は約7%にとどまったが、利用者のアンケートでは「今後もキャッシュレス決済を使いたい」「利用できる施設を拡大してほしい」といった好意的な意見が多く寄せられた。同市デジタル・スマートシティ推進事業本部の星野仁氏は「ニーズ自体は非常に高く、市民サービスの向上や市民の決済手段の多様化への対応として、(キャッシュレス決済が)必要だと考えた」と話す。

その一方で、窓口などで対応した職員へのアンケートなどから、事務処理面での課題も明らかになった。この実験の際は決済端末と連動していないレジを使ったため、職員からは「決済端末とレジとの二度打ちでの対応が間違いの元になる」、「現金とキャッシュレス、それぞれの決済ごとの集計作業が煩雑になった」などの意見が出た。

キャッシュレス決済を導入した浜松市博物館(出典:公益財団法人浜松・浜名湖ツーリズムビューロー 浜松・浜名湖だいすきネット)

利用は全体の1割
今後は市の他施設への導入を検討

同市は実証実験の結果を受け、本格的にキャッシュレス決済を導入することとした。2021年度予算には、導入のコストや手数料、クラウドレジの利用料など約1,200万円を計上。キャッシュレス決済とレジシステムを一元管理できる仕組みを採用することとし、各施設に計約30台の決済端末を配備した。同市情報政策課主任、山本健史氏は「事業者はプロポーザル方式で公募しましたが、1台で決済とレジ入力ができ、金額の二度打ちをする必要がない、操作性も良くて間違いが少ないという点を評価しました」と説明する。

同市によると、導入から2022年1月末までで、キャッシュレス決済が利用されたケースは1割程度を占めた。経済産業省が示した2020年の国内におけるキャッシュレス決済比率29.7%には届かないが、市民らの反応は好意的だという。中でも最も多く利用されたのがQRコード決済で、クレジットカード、電子マネーと続いた。また、他の区に比べて転入者が多い浜北区役所での利用が多い傾向が見られるという。

今後は市の他施設へのキャッシュレス決済導入を検討していく。「各施設で取り扱っている手数料の種類や件数、金額などを分析し、いつまでに、どの施設に入れていくかというロードマップを作成して導入を進めていきます」と星野氏。山本氏は「新型コロナウイルスの感染防止や業務効率化、市民の皆様の利便性向上という導入の意義を引き続き市内に広げ、課題を洗い出して改善していきます」と話す。今後も同市の取り組みに注目したい。

カード決済&セキュリティの強化書2022より

 
 

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