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福井銀行と福井新聞社が共同で運用する決済アプリ「ふくアプリ」 2023年11月からはデジタル地域通貨での活用がスタート(ふくいのデジタル)

2024年4月5日8:00

福井銀行と福井新聞社の共同出資会社「ふくいのデジタル」は2022年から、決済関連機能や情報配信機能を備えたスマートフォンアプリ「ふくアプリ」を運用している。2023年11月からは、福井県や県内市町が県のデジタル地域通貨「ふくいはぴコイン」の事業を展開する共通プラットフォームとして運用をスタート。2024年3月の北陸新幹線の県内延伸に合わせて、県内の鉄道やバスなどの電子企画乗車券が購入できるMaaSアプリも搭載する。

左から福井新聞社 代表取締役社長 吉田真士氏、ふくいのデジタル 代表取締役副社長 島田琢哉氏、同社 代表取締役社長 小林拓未氏、福井銀行 代表執行役頭取 長谷川英一氏 ( 株) ふくいのデジタル提供

域内の決済や情報発信に使えるアプリ
プレミアム付きデジタル商品券などに活用

ふくいのデジタルは、福井銀行と福井新聞社がそれぞれ50%出資し、2022年9月に設立。同年10月に「ふくアプリ」の提供を始めた。両社は2016年から、「QUICPay」と「nanaco」を搭載した地域貢献型電子マネーカード「JURACA(ジュラカ)」を共同で運営していたが、スマートフォンやQRコード決済が普及する中、北陸新幹線金沢―敦賀間開業を見据え、域内の決済や情報発信に利用できるアプリの開発に着手。地域のDXを進める事業会社として、全国的に珍しい地方銀行と地方新聞社による共同出資会社を設立することとした。

ふくアプリには、デジタル地域通貨やプレミアム付き商品券などに対応する決済関連機能と福井新聞のニュースや気象・災害情報が閲覧できる情報発信機能を搭載。事業協力パートナーの電通、電通コンサルティング、電通国際情報サービス(現・電通総研)や、福井県内の自治体などと連携してさまざまな事業を展開してきた。

ふくアプリは、利用者が店頭などに置かれたQRコードをスマホで読み取って決済するMPM方式を採用。まずは2022年10月に鯖江市・越前市・越前町で開催された工房見学イベント「RENEW(リニュー)」で、イベントでの支払いに利用できるプレミアム付きデジタル商品券「RENEWPay」を発行。6,000円分の商品券を1口5,000円で販売し、期間中は総額約600万円分がチャージされた。

2023年1月から7月には、県と県観光連盟からの受託事業として、全国旅行支援事業の県版電子クーポン事業「ふくいdeお得キャンペーン」を実施。県内での宿泊者がふくアプリで電子地域通貨を取得し、加盟店で使えるようにした。期間中の利用者は約15万人で、決済規模は総額7億円。また、同年1月から2月には、武生商工会議所からの受託事業で、もともと使われていた紙のクーポンを電子化した「デジタルたけポン」を発行した。

こうした取り組みでは、ふくアプリを通して取得した決済データなどを分析。個人情報が特定されないようにした上で、オープンデータとして公開してきた。ふくいのデジタル 代表取締役社長 小林拓未氏は「アプリのデータを通して、どのような属性の方がどのような行動を取られているのかを見える化できます。こうした貴重なデータを地域に還元し、より高度な観光経営につなげていきます」と話す。前述のRENEWでは、イベントで得られたデータの分析結果をもとに、県内事業者の商品開発や企画などをサポートした。

ふくいはぴコイン加盟店ステッカー ( 株) ふくいのデジタル提供

アプリ内に複数の「サイフ」を設定
行政の給付金支給などに活用

こうした実績が認められ、県はふくアプリを県が整備するデジタル地域通貨の共通プラットフォームに採用。ふくいのデジタルはアプリをリニューアルしてデジタル決済システム機能を大幅に拡充し、県や県内17市町がアプリを利用して、県のデジタル地域通貨「ふくいはぴコイン」やデジタルポイントなどの事業を行えるようにした。

大きな特徴が、アプリ内に複数の独立した「サイフ」を設定できるようにした点だ。サイフごとに利用可能な店舗を設定できるため、各自治体が必要に応じて、実施する事業ごとに別々のサイフを作り、交付金の給付やプレミアム付き商品券、デジタルポイントの付与を行えるようにした。決済もサイフごとに行う仕様だ。複数の自治体が個別の事業を行う共通プラットフォームとして1つのアプリを活用する、全国でも例のない取り組みだという。

県や県内市町は2023年11月から、ふくアプリを利用した事業を順次スタート。これまでは銀行振り込みなどで給付していた国の出産・子育て応援金を、独自に上乗せしてはぴコインで給付する事業や、子育て世帯を対象に、子ども1人につき1,500円分のポイントを給付する事業などに利用されている。ウォーキングの歩数に応じた健康ポイントの付与や(池田町)、ボランティア参加でのポイント付与(あわら市)の実証事業も行われている。「ふくアプリや、はぴコインを通して、域内の経済・地域コミュニティの活性化や行政事務の高度化、住民の行動変容の促進など、各地域が抱える課題を解決していきたい」(小林氏)

ふくアプリの累計ダウンロード数は、2023年12月時点で約28万5,000件。はぴコインの運用が始まった同11月以降のユーザー数は8万人を超え、決済回数は約8万回、決済金額は約2億円に上る。アプリの加盟店も約3,600店と着実に増えている。

2024年3月の北陸新幹線開業に合わせて展開する、県内の鉄道やバスなどの電子企画乗車券の購入にもアプリを活用。今後はデジタル格差が生じないよう、アプリをうまく使えない人向けのサポートなども進めていく。ふくいのデジタル 副社長 島田琢哉氏は「福井に住んでいる人や訪れる人のニーズに応えられるよう、アジャイルに運営していきたい」、小林氏は「福井県民の1人につき1ふくアプリという世界を目指していきたい」と意気込む。

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