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202312/4

農業DXで地域活性化を目指す「ノウタスPay」の目指す世界とは?

2023年12月5日8:45

ノウタスは、周遊特化型プレミアム付きスマホ決済サービス「ノウタスPay」の実証実験を2023年10月~2024年2月まで長野県須坂市の複数観光施設で実施している。同サービスは、ノウタスのFaaS(Farming as a Service)と、TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANデジタルの決済プラットフォーム「地域Pay」の連携によりサービスを構築した。同実証実験の狙いについてノウタスとTOPPANデジタルに話を聞いた。また、TOPPANデジタルにこれまでの「地域Pay」の実績について紹介してもらった。

左からTOPPANデジタル 事業推進センター DXビジネス推進本部 新サービス開発部 地域DXチーム 岸柳祐介氏、同部 脊戸川達哉氏、ノウタス 代表取締役CEO 髙橋明久氏、取締役副社長佐々木陸衣氏、取締役 チーフ・アライアンス・オフィサー石田淳也氏

農業DX、農業エンターテイメントを推進
長野に加え、愛媛にも展開

ノウタスは、日本の農業・農家が抱える構造的な課題解決を目指し、農業DX(デジタルトランスフォーメーション)、農業エンターテイメントを推進している。例えば、観光農園のデジタル化やキャッシュレス化を支援する「クダモノガリプラス」や、消費者が購入価格を自由に決められる「ノウタスモール」を展開している。また、BNPL(後払い)事業者のネットプロテクションズと包括業務提携し、「ノウタスモール」の支払いに後払いサービスを導入した。直近ではぶどうの新種開発・販売に取り組んでおり、2023年7月にはアグリテインメントプロジェクト「パープルM」の第一弾として「マルチカラーのクイーンルージュとシャインマスカットのセット」を販売した。同販売の決済では、サービスを体験した後で利用者が自ら値決めを行う「あと値決め」というポストプライシングサービスを利用している。ネットプロテクションズの業務も兼任する取締役 チーフ・アライアンス・オフィサー石田淳也氏は「ネットプロテクションズとしても、体験型が多かった中で物販を交えた初めての事例となり、露出も多かったです」と成果を述べる。

また、昨年までは長野県を中心に活動していたが、愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」に採択され、愛媛県での事業を開始した。ノウタスのFaaSを活用し、西条市と伊方町の協力農園数カ所の観光農園の予約、チェックイン、精算などの運用をデジタル化することで農業体験の収益化と顧客満足度向上を図る。

ノウタスPayで須坂市周遊へ
20%のプレミアムを付与

「ノウタスPay」は、須坂市内の提携農園への農業体験の参加や支払いの利用に加え、地域の祭事など複数施設での店頭利用、チャージ(プレミアム付与)にも対応する。取締役副社長佐々木陸衣氏は「TOPPANデジタルから地域通貨と農業の話をいただい、現地にオフィスのある須坂市の複数施設で実施することになりました」と話す。代表取締役 髙橋明久氏は「ノウタスは『観光×農業』で展開していますが、観光に来られた方が果物狩りだけをして帰るのではなく、如何に地域を周遊していただき、お金を落としていただくかをノウタスPayで検証しています」と語る。

マルシェでのノウタスPayの告知

須坂市では須坂農産物マルシェ「おはよう市」を月に2回開催しているが、出店する農家に加盟店になってもらった。佐々木氏は「駅前のカフェ、観光施設の直売所でも支払いが可能です。マルシェで使っていただくことを入り口に、市内を周遊していただきたいです」と説明する。現在の参加店舗は約10店舗。地域の加盟店の開拓はマルシェを主宰する長野経済研究所などの協力を得ている。地元の農業を盛り上げるための活動であるため、地域の理解を得られやすいとした。

利用者はマルシェの事務局において、ブラウザ上で利用できるWebアプリに事前にお金を入金(チャージ)して使用する。ノウタス 代表取締役CEO 髙橋明久氏は「予めチャージした金額を使うプリペイドは非常に相性が良いです」と話す。実証実験限定でチャージ額の20%のプレミアムを付与しており、例えば1,000円入金すると1,200円分が利用可能となる(プレミアム付与については総額100万円まで付与次第終了)。決済時は、店舗に設置したPOPのQRコードを読み取る形だ。そのため、店舗は決済端末などを用意することなく、決済を受け付けることができる。また、加盟店向けWebアプリでも決済を受け付け可能だ。店舗には、決済データを閲覧できる加盟店向け管理Webも提供している。

ノウタスPayの加盟店様向け説明資料

発行主体はさまざまな形を想定
ノウタスモールと連動も視野に

今回の決済の仕組みはTOPPANデジタルの「地域Pay」を使用しているが「ブラウザベースで動いており、管理機能まで含めて、画像を載せるだけですぐに使えました」と高橋氏は話す。またTOPPANデジタルは地域へのキャッシュレス決済の導入を強化しており、地元の一次産業を盛り上げることに共感してもらったことも大きかった。

ノウタスPayの利用の流れ

ノウタスPayは、半年間の有効期限を設定している。高橋氏は「資金決済法の適用外でスピード感を持って行うため今回は弊社が発行主体となりましたが、今後どうするかは検討の余地があります。農業を観光資源として外部からお越しいただき、地域に貢献して帰ってもらう目的を達成するため、いろいろな事業者との提携は選択肢としてあります」と述べる。例えば、地域限定での展開の場合、地元の金融機関、商工会などと協力して進めていく形を検討している。高橋氏は「インターネットバンキングなどの普及によって地域金融機関の優位性が少ないなる中、地元の産業と伴奏することが求められる事業戦略の1つです。特に地元の農業とどう付き合うかはノーアイデアの事業者が多く、ノウタスにご相談いただいています」とした。

ノウタスPayの決済はQRコードをスマートフォンで読み取るMPM方式となる

一方で、地域をまたいで展開していく場合などは同社などが取りまとめる形もあり得るという。また、農業関係団体などが発行主体になるケースも想定できる。そのほか、地域のマルシェなどに加え、産直販売を行う道の駅などとの提携も考えられる。

今後の戦略として、ノウタスモールと連動することで、観光から帰った後に地域の農産物などを購入してもらうことが挙げられる。また、資金移動業との兼ね合いとなるが、農業を手伝った人の謝礼をノウタスPayで支払い、地元でお金を落として帰ってもらう流れも考えられるとした。

贈答用プリペイドカードや現地版ふるさと納税も想定
スマートシティなどとの連携も

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