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202311/1

AWSの金融領域における生成系AIへのアプローチ 三菱UFJ銀行、ナウキャスト、シンプレクスの活用は?

2023年11月1日9:00

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、2023年10月13日、金融領域における生成系AIの活用事例に関する記者説明会を開催した。当日はAWSの金融領域における生成系AIへのアプローチ、日々アップデートされるAWSの生成系AIのオファリング最新情報に関する説明に加え、三菱UFJ銀行、ナウキャスト、シンプレクスの担当者からAWSの生成系AIサービスの利用状況や実際に利用した感想、今後活用を予定しているユースケースなどが紹介された。

生成系AIの取り組み
Amazon Bedrock活用の事例増

記者説明では、アマゾン ウェブ サービス ジャパン金融事業開発本部 本部長 飯田 哲夫氏が同社の金融ビジネスにおける生成系AIへのアプローチを紹介した。AWSは、2006 年 からクラウドサービスを提供している。現在、190カ国、世界数百万、日本で数十万の顧客が利用している。累計で 129 回以上の値下げを行い、利益を顧客へ還元している。また、東京、大阪2リージョンに関する設備・運用投資総額は1 兆 3,510 億円となるそうだ。

同社では、2016年に最初のAIを出し始めたというが、生成系AIの発展のスピードに驚いているそうだ。また、異なった立ち位置の顧客が利用している。

グローバルでAWSを活用した生成系AIは進展しており、取り組み事例が増加している。同社では、Amazon Bedrock を東京リージョンでローンチし、AWS の生成系AI関連サービスのアップデートしている。また、AWSがサポートする基盤モデルの品揃えを拡充している。

機械学習では、共通的な基盤を提供し、モデルの構築から実装を図っている。インフラのレイヤーとして、スケールすることを見越して提供することで、活用領域が広くなった際のコストを抑えられるという。結果として10万社の顧客がAWS上で機械学習を実行し、日本の金融機関も活用している。

生成系AIのビジネスでは、議論がスタートすると機能の検証で終わってしまうこともある。そのため、同社の「Vision 2025」では、インフラプロバイダーから金融ビジネス変革 の戦略パートナーへなることを目指し、生成系AIにおいても、顧客課題を起点としたビジネス変革支援のアプローチを行う。

顧客課題に対応した生成系AI活用の支援とAWSの提供価値として、独自基盤モデルの構築によるサービス開発、基盤モデルを活用した金融サービスや商品を開発する「既存の枠組みを超えたビジネスモデルへの挑戦」がある。また、「新生活様式を織り込んだ顧客との関係構築」では、顧客対応におけるカスタマーエクスペリエンスの強化やパーソナライズされた金融アドバイスや情報の提供を挙げた。「予測できない未来に耐え得る回復力の獲得」では、金融犯罪に対する対応力の向上や、運用負荷・セキュリティ・コンプライアンスへの対応がある。さらに、「変革を実現する組織と人材の育成」では、生成系AIを活用するためのトレーニングを提供したり、組織導入やユースケースの定義の支援を挙げた。また、これ以外にも社内業務における生産性向上で活用できる。

NatWest、Principal Financial GroupIntuit、
Nasdaq、Intuit、LexisNexisが活用

グローバル金融における AWS の生成系AIサービスのユースケースとして、例えばNatWestではAmazon Bedrockを活用することで、高度化する金融犯罪の脅威と戦っている。また、顧客や社員が、必要な時に必要な方法で必要な情報にアクセスできるようになるという。Principal Financial Groupでは、Amazon BedrockとAmazon Titanを利用しており、同社独自のサービスへ基盤モデルの組み込みを行っている。Amazon Bedrockを顧客との電話対応に活用することに加え、法人顧客のタクソノミーの構築への活用、また、バーチャルアシスタントの会話フローの改善に役立てることができないかを評価しているそうだ。Nasdaqでは、Amazon Bedrockが、選択肢、可用性、自動化を同時にもたらしてく れること、そしてビジネスの重要な領域においてAmazon Bedrockを活用できる 高い可能性があるとした。適用領域には、金融犯罪対策や サーベイランスの強化が含まれる。Intuitは、独自の生成AIオペレーティングシステム(GenOS)をAWS上に構築。Amazon Bedrockを活用すること で、GenOSの同社独自の基盤モデルに加え、AmazonとAIスタートアップの提供する基盤モデルを、インフラの管理やスケールを気にすることなく活用することができるという。LexisNexisは、さまざまなサービスの中に生成系AIを迅速に展開していく戦略を取っている。その実現へ向け、AWSおよびAnthropicと共に、Amazon Bedrock上に 独自にファインチューンされた Claude 2の環境構築に取り組んでいるそうだ。同社の新しい Nexis+ AIプラットフォームの技術は、会話型検索、示唆に富む要約、高度な法務資料のドラフト作成などにより、法務の専門家の効率性、能力、そ して生産性を高めることができるとしている。

続いて、技術統括本部 技術推進グループ 本部長 小林 正人氏がAWSの生成系AIのアップデートについて紹介した。Amazonは、AIに関するノウハウや経験を20年以上積み重ねている。すべての顧客が機械学習にチャレンジする思いを支えているという。また、くみ上げられているものを使ったり、自分たちのデータを使うことが可能だ。また、仕組みを提供してもらい、1からすべてフルカスタムで作りたい人もいる。すべての顧客に対してやりたいことを容易に実現することがミッションとなっている。機械学習や生成系AIの技術はイノベーションを秘めているという。多くのデータ、計算能力、技術的な蓄積が積み重なっており、今日の可能性が広がっている。

生成系AIに取り組むに当たり重要な要素として、基盤モデルの最先端のモデルを選んで利用でき、新たなモデルを使えることだ。顧客データを使って、安全に業務に適用できる。また、実際にサービスとして持続できるコストパフォーマンスやインフラの拡張性が求められる。

例えば、Amazon Code WhisperはAI コーディングコンパニオンで、 より速く、より安全にアプリを構築可能だ。コード提案をリアルタイムで生成し、見つけにくい脆弱性のコードを スキャンする。また、オープンソースのトレーニングデータに似ているコードにフラグを付けたり、 デフォルトでフィルタをかけることができる。

Amazon CodeWhisperer customization capabilityでは、チーム固有の特性にキャッチアップできる機能としてカスタマイズ機能を近々リリースするという。

AMAZON QUICKSIGHT Generative BIは、ビジネスアナリストをはじめすべてのユーザーが自然言語を利用して 生成系AIによる高度な可視化を実現するそうだ。売上を棒グラフで表示するなど、この生成系AIは自然言語で表現すれば解釈されて、可視化される。これにより、顧客はより快適に使えるようになるとした。

「Amazon SageMaker 」「Amazon SageMaker JumpStart」は、さまざまなユースケース向けのMLモデルを構築・トレーニング・デプロイする。Amazon SageMaker JumpStartでは、既存のモデルにアクセスして、実験や開発を素早くスタートすることができる。

生成系AIアプリケーション構築でスケーリング
複数の基盤モデルが選択可能

Amazon Bedrockは、APIを使って基盤モデルにリクエスト、結果を受け取ることが可能だ。また、顧客の業務用途に適した基盤モデルを選択できる。さらに、自社のデータを使って安全にカスタマイズできるという。すでに一般提供開始しており、東京リージョンでも利用可能だ。

単一の API でさまざまな主要な基盤モデルにアクセスでき、独自のデータで基盤モデルを非公開でカスタマイズできる。さらに、データセキュリティとコンプライアンスを実現。API を動的に呼び出して複雑なビジネスタスクを実行するエージェントを構築できる。検索拡張生成 (RAG) を使用して、データを使って 基盤モデル の機能を拡張できるとした。基盤モデルは、選択可能であり、Meta AIの大規模言語モデルの「LLAMA 2」も利用できるようになった。

Agents for Amazon Bedrockでは、数ステップで 生成系 AI アプリケーションに 必要なタスクを完了できる。企業は基盤モデルを選択し、基本的な支持を伝える。社内の顧客データベースから関連するデータソースを参照し、実行可能なアクションを指示するワークフローだ。また、細かいタスクに分割して、エージェントを使うモデルを選んで、指示を与えて、どういうアクションをするかを定義できるそうだ。

検索拡張生成(RAG)向け ナレッジベースでは、生成系AIに質問すると事実ではないものが返ってくる可能性があるが、それを軽減するために使われるという。生成系AIとは別に正しい情報を蓄えたデータベースを用意して、検索して得られた情報を基盤モデルで加工する。ハルシネーションではAIに基づかいない情報を抑制できるが、それを実現可能だという。

顧客は、基盤モデルをカスタマイズできる。特定タスクの精度を最大限に高めるとともに、カスタマイズはファインチューニング可能だ。また、顧客データはプライベートかつセキュアに保護される。顧客データが 利用される基盤モデルの学習に利用されることはないという。また、すべてのデータは暗号化され 転送、保存される。さらにGDPR (一般データ保護規則) 、HIPPA(医療保険の携行性と責任に関する法律)などに準拠しているそうだ。

AWSでは、生成系 AIの敷居を下げてチャレンジしてもらえる3つのステップを用意。また、活動を支援するために情報、トレーニング、ワークショップもしているという。

三菱UFJ銀行、ナウキャスト、
シンプレクスの活用は?

今回は、顧客企業である三菱UFJ銀行、シンプレクス、ナウキャスト(Finatext グループ)も登壇した。

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